オーラルフレイルとは?

2025年10月14日

こんにちは

仙台ファースト歯科の歯科医師の佐藤です。

今回のブログは「フレイル」についてです。

自分のことだけでなく、ご家族、ご両親にも関係することです。また自分は大丈夫と思っていても少しずつ進行しているのもフレイルの特徴です。

皆さんの参考になれば幸いです。

 

☆高齢化が進む日本社会と「フレイル」への注目

日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えています。
高齢者の多くは複数の慢性疾患を抱えており、疾患の重症化予防に加え、要介護状態に至るリスクを減らす「フレイル対策」が大きな関心を集めています。

「フレイル(frailty)」とは、加齢に伴い心身の活力が低下し、生活機能が脆弱になる状態のこと。身体的な衰えだけでなく、精神面や社会的なつながりの減少など、さまざまな側面を含む概念です。
このため、行政や医療・介護の現場では、より「個別性に配慮した支援」が求められています。

 

☆フレイル予防の3つの柱

「フレイル予防の3つの柱」は次のとおりです。

  1. 口腔・栄養(食と口の健康)
    たんぱく質を中心にバランスの取れた食事を心がけ、定期的に歯科検診を受ける。→今、栄養士さんと連携して食にアプローチしていく歯科医院さんも増えております。
  1. 身体活動(運動)
    ウォーキングや筋トレなど、日常の中で体を動かすことを習慣にする。
  2. 社会参加(つながり)
    友人との食事やボランティアなど、地域との関わりを持ち続ける。

この3つを意識的に保つことで、フレイルの進行を防ぎ、心身の健康を維持できます。

 

☆口から健康を支える「オーラルフレイル」とは?

近年、特に注目されているのが「オーラルフレイル(oral frailty)」です。
これは、2014年に提唱され、日本歯科医師会が中心となって啓発が進んでいます。

オーラルフレイルとは、口のささいな衰えを放置することで、食べる・話すといった機能の低下を招き、最終的に全身の健康や社会的な活動に悪影響を与える状態を指します。

 

「食べこぼしが増えた」「むせやすくなった」「発音が不明瞭になった」といった小さなサインは、まさにオーラルフレイルの始まりです。ご自身で感じることはありませんか?

またご家族でそのような兆候を目にすることや感じることはございませんか?

 

☆オーラルフレイルの4つのレベル

オーラルフレイルは段階的に進行していく概念で、次の4つのレベルから構成されています。

1レベル:口の健康リテラシーの低下

最初の段階は、「口の健康への関心の低下」です。
高齢になると社会との関わりが減り、特に退職後の男性では地域活動への参加が少なくなる傾向があります。
そうした「社会的フレイル」や精神的な不安定さが、自分の健康、特に口腔への意識低下につながります。

その結果、歯科受診が減少し、歯周病や歯の喪失リスクが高まるのです。
この段階では、「口の健康を意識すること」そのものが予防の第一歩となります。

2レベル:口のささいなトラブル

次に現れるのが「ささいなトラブル」です。
滑舌の低下、食べこぼし、むせ、噛みにくさ――こうした小さな変化が出始める段階です。

多くの人は「年のせいだから」と柔らかい食品を選ぶようになりますが、これが習慣化すると咀嚼筋が衰え、さらに機能が低下するという悪循環に陥ります。
このレベルでは、「口の変化を自分ごととして自覚し、早めに対応すること」が重要です。

お肉類や繊維質な食品は噛みにくいため避けられたりすると栄養の偏りが生じやすくなります。

3レベル:口の機能低下

この段階では、口の機能低下が顕在化し、「口腔機能低下症」と診断されることもあります。
咬合力の低下、舌や唇の動きの衰え、口の乾燥などが進み、食べる・話すといった基本的な機能に影響を与えます。

また、栄養摂取の不十分さから**サルコペニア(筋肉量減少)ロコモティブシンドローム(運動器障害)**を引き起こしやすくなる点も注意が必要です。
このレベルでは、歯科医療機関での「口腔機能管理」が推奨されます。

4レベル:食べる機能の障がい

最終段階では、「摂食嚥下(せっしょくえんげ)機能障害」や「咀嚼機能不全」が見られるようになります。
この段階に至ると、食事そのものが困難になり、低栄養・体力低下を経て要介護状態に至ることも少なくありません。

ここでは医師・歯科医師などによる専門的なリハビリテーションが必要です。
ただし、第1~2レベルの段階で気づき、適切なケアを行えば、進行を止めることは十分に可能です。

4つのレベルを通じて見える「予防の重要性」

オーラルフレイルは単に「口の問題」ではありません。
その背景には、社会参加の減少や精神的な不調、栄養状態の悪化などが密接に関係しているのです。

つまり、オーラルフレイルは「全身のフレイル」への入り口とも言えます。
このため、歯科・医科・介護・地域支援が連携し、包括的なサポート体制を築くことが極めて重要です。

 

☆フレイルとオーラルフレイルの連鎖

オーラルフレイルは単なる口の問題ではありません。
進行に伴い、食欲低下や体重減少を招き、身体的フレイルや要介護状態への移行を加速させる「入り口」なのです。
したがって、早期発見・早期介入こそ最大の予防策です。

 

☆「かかりつけ歯科」の役割

歯科診療所は、医科のように専門分化がまだ進んでおらず、小児から高齢者まで幅広く対応できる歯科医院が多いです。
かかりつけ歯科医や歯科衛生士は、患者さんの成長や加齢による口腔機能の変化を長期的に観察し、
その人のライフステージ全体を通じて健康を支えています。

このため、単なる治療だけでなく、

  • 機能低下の予兆を早期に発見
  • 家族を通じた健康教育
  • 閉じこもり傾向の高齢者の支援
    など、地域のセーフティネットとしても大きな役割を担っています。

さらに2018年の「口腔機能低下症」保険収載により、科学的評価に基づく継続的管理が可能となりました。
これは、歯科診療所と地域住民主体のサービスが協働する新たなモデルであり、
地域包括ケアシステムの推進に直結する取り組みとして期待されています。

「話す・笑う・噛む・食べる」といった日常の行動を続けることが、心身の健康と社会的つながりを維持する鍵になります。

 

☆ まとめ1  口の健康が、人生の質を決める

オーラルフレイルは、全身のフレイルの“始まり”であり、“防げる老化”でもあります。
その予防には、かかりつけ歯科の存在が欠かせません。

地域でのつながり、定期的な歯科受診、そして食事や会話を楽しむ習慣が、
「口から始まる健康長寿社会」を実現します。

 

☆まとめ2:口から始まる健康長寿社会へ

高齢者の健康維持には、「保健事業と介護予防の一体的実施」と「オーラルフレイル対策」の両輪が欠かせません。
日々の生活の中で、

  • かかりつけ歯科医を持つ
  • よく噛み、よく話し、よく笑う
  • 地域の通いの場に参加する

これらの積み重ねが、健康寿命を延ばす最大の鍵となります。

いかがでしたでしょうか。今回のブログが少しでも皆さんのお役に立てればと思います。

仙台ファースト歯科では歯科医師だけでなく歯科衛生士とともに「虫歯治療」「歯周病治療」に加えて「噛み合わせ治療」を行なっていきます。

当院で治療を受けられた患者さんが少しでも健康になってもらえるように心掛けております。

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