【歯科治療の真の目的とは】
2025年2月18日
こんにちは。仙台ファースト歯科、歯科医師の山本です。
今回は【歯科治療の真の目的とは】という少し大袈裟なタイトルとなっていますが…
これに関して、僕が患者さんへよくお伝えしている考え方含め、書いていこうかと思います。
お時間があればぜひ最後まで読んでみて、ご自身の歯への考え方をアップデートしてみてください。
読んでくれているあなたの人生に少しでもプラスになればと思います。
以下のトピックで順にお話ししていきます。
1.【歯科治療の真の目的とは】
2.【歯科治療は回数券】
3.【歯科治療は死ぬまでの時間稼ぎ】
4.【歯の価値】
5.【まとめ】
1.【歯科治療の真の目的とは】
まずはタイトル回収からさせていただきますが、僕が考える歯科治療の真の目的は、「治療した歯がなるべく長持ちし、しっかりと噛めるようにする」ということだと思います。
そう言われれば当たり前に感じるかもしれません。
ですが僕が患者さんとお話ししてよく感じるのは、どうしても患者さんは目先の情報にしか注意が向いていないという点です。
例えば、患者さん側はどうしても「虫歯があるので詰め物で埋める」、「歯を抜かなければならないのでインプラント治療をする」というところで思考が止まってしまうのです。
この考え方は、歯科治療を受けること自体がが目的となってしまっているのです。
歯科治療の目的は前述の通り、治療をしたその先にあります。
上の例の考え方を少し直してみると「虫歯があるので詰め物をして、しっかりと噛めるようにする」、「歯を抜いた後にインプラント治療をして、しっかりと噛めるようにする」という言い方になるわけです。
つまり、歯科治療の目的はいつだって「しっかりと噛めるようにする」ことであり、「詰め物をする」「インプラント治療をする」というのはあくまで「しっかりと噛めるようにするための手段」なのです。
この目的と手段の履き違えがあれば、歯医者がよかれと思って勧めている治療を、「この歯医者はやたら高額な治療を勧めてくるな…」とマイナスな受け取り方をしてしまい、最善の治療を選び損ねてしまうかもしれません。
それは結果として後に取り返しのつかない事態となって患者さんを襲うかもしれません。
何の治療を選ぶかは患者さん次第で人それぞれですが、その歯はあなたが一生使う体の一部です。
よく分からないからと歯医者任せにせず、ご自身でよーーーーく考えましょう。
分からないことがあれば僕らに聞いてください。

2.【歯科治療は回数券】
「昔治療した部分が隙間から虫歯になっているので再治療をしましょう」「昔根の治療をしたところが再感染を起こしているので根の治療のやり直しをしましょう」と言われ、再治療をした経験はないでしょうか。きっとあると思います。
正直に申し上げると、僕らも日々治療をしていて感じるのは、「半分くらいは昔の治療のやり直し」であるということです。
そこで「歯科治療は回数券」の話になるのですが、歯医者なら絶対に知っている(はず)の考え方の一つに「レストレーションサイクル」というものがあります。(ここではいったん虫歯にフォーカスを絞った話となります)

上の図でも解説されていますが、基本的に一度虫歯になった歯は再発し治療を要します。それを繰り返していくと、最終的には必ず抜歯に行き着く、という考え方です。
再治療を繰り返せば自分の歯はどんどん失われていくわけで、治療の回数にも限度があります。
一度虫歯になった歯が生涯治療に耐えうる回数はよくて5,6回です。
その回数券を使い切れば、もう抜歯をするしかなくなるわけです。
これはあくまで小さな虫歯からスタートした場合の話なので、一度も治療をせず、虫歯が神経に到達するまで放置してしまった場合などは、その歯は今後よくても1,2回の治療にしか耐えきれず、抜歯に至ります。
ちなみに神経をとった歯の寿命は7年くらいと言われています。短いですよね。(もちろん前歯か奥歯か、噛み合わせが安定しているか等で大きく差はありますが)
つまり、一度虫歯になった歯は抜歯への片道切符を切られた状態であり、適切な治療や管理がなされなければ、その後は再治療の回数券を使い切り、必ず抜歯という終着駅に至るのです。
3.【歯科治療は死ぬまでの時間稼ぎ】
かといって、虫歯になってしまったものは仕方がありません。治療は必要です。
でも一度虫歯治療をした歯は再発します。再発を繰り返せば抜歯になります。
ではどうすればいいのか。
答えは簡単で、「治療の回数券を使い切る前に死ぬ」です。
どういうことかというと、なるべく再治療が必要になる間隔を長くしてあげれば良いのです。
ではそうするにはどうすればよいのでしょうか。
問題点には必ず原因が存在します。
例えば、虫歯になった原因は歯ブラシをサボったからかもしれないし、噛み合わせの悪さや食いしばりのせいで歯にヒビが入ったからかもしれないし、昔入れた銀歯が歪んでしまったからかもしれません。
虫歯に詰め物をしたとしても、それは虫歯を修復しただけで原因の除去にはなっていません。

歯ブラシのサボりが原因なら、その習慣を改めない限りその歯はまた虫歯になります。
噛み合わせの悪さや食いしばりが原因なら、そこを治してあげないとその歯はまた虫歯になります。
銀歯の歪みが原因なら、そこに新しい銀歯を入れてもその銀歯は歪んでまた虫歯になります。
「虫歯になった部分を削って修復して終わり」ではなく、「虫歯になった部分を最適な材料を用いて修復し、かつその原因も考え、再発しないよう努めていく」のが虫歯治療の本来あるべき姿なのです。
ただしこの「最適な材料を用いて修復する」という部分は保険治療では厳しいです。
ですが、「原因を考えて再発しないよう努めていく」ことは保険、自費治療関係なく可能です。
そして、これを行なっていくのは僕ら歯医者ではなく、患者さん自身です。(もちろん原因を考えそれを伝えるのは僕らの仕事ですが)

こうして、「再発を防ぐ」という同じ目的を持ち、お互い治療にあたることが大切なのです。
(ただし現在の日本の歯科の保険治療の制度上、そこまでしっかりと行うのは正直難しい部分もありますが…)
再発を防ぐことができれば、再治療が必要になるタイミングを遅らせることができるので、結果として抜歯に至る前に死ぬことができます。
つまり、歯科治療は死ぬまでにどれだけの時間稼ぎができるかの勝負なのです。
4.【歯の価値】
最後に歯の価値というところで少しお話しします。
歯1本に金額をつけるならいくらが妥当だと思いますか?
場所によっても違うと思いますが、歯1本の価値は金額にすると100万円くらいと言われています。
親知らずを除けば歯は28本ですから、全部の歯が残っているというのはそれだけで3000万円近い資産なのです。
(そう考えると1本50万円程度で歯が入るインプラントは安いのかも…?)
実際にそのくらいの価値を感じているかは人それぞれでしょうが、歯の価値というのは健康と同じで、失って初めて気づくのです。
「歯医者に行けば治るだろう」と短絡的な考えで虫歯や歯周病を放置し、手遅れになり抜歯を宣告されてから後悔する。これほど愚かなことはありません。

ですがこういった認識の方が多いのも仕方ありません。
なぜなら日本の歯科保険治療の金額が安すぎるからです。
保険治療であれば3割負担で、小さな虫歯であれば1,000円前後、神経を抜いて被せ物をしても2万円もかかりません。
これは諸外国の歯科治療の金額と比較すると意味不明、破格、unblievable、引くレベル安さなのです。

そんな値段設定なので、日本人は歯への価値をあまり感じることができず、失ってからその価値に気づくのです。
歯を失えばどうなるでしょうか。
見た目の問題などももちろんありますが、一生付きまとうのは「食事」です。
見た目なんて歳をとれば気にならなくなる方がほとんどです。
ただ食事はどうでしょう?1日3回、生きていく上で絶対に避けては通れない行為です。絶対です。
食事がうまく取れないとなれば、寿命はちゃんと縮まります。
認知症などの様々な病気のリスクも上がります。
自分の食べたいものを気にせず食べることができない老後の人生ほど、つまらないものはありません。
歯を失わなければ、しっかりと食事が取れて長生きでき、病気にもなりにくいのです。そこには3000万円では効かない価値があるとは思いませんか?
5.【まとめ】
ここまで読んでみて、ご自身の歯に対する考え方に何か変化はありましたでしょうか?
僕らはなるべく患者さんの歯が長持ちする(抜歯を余儀なくされる場合でもなるべくしっかりと噛める)治療方法を考え、提案をしています。
確かに、時には金額として高額な治療や、少しやりすぎとも取れるような治療計画を提案することもあるかもしれません。
ですが、僕らはその治療が、
なるべくしっかりと噛めるようにするためにはどうしたら良いか
今後の再治療を減らすためにはどうしたら良いか
死ぬまで抜歯にならずに済むためにはどうしたら良いか
というところまで考えて提案をしているということを理解していただければと思います。
今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。





