歯の詰め物について知っておきたいこと
2025年4月30日
みなさまこんにちは!仙台ファースト歯科の工藤です。
もうすぐ待ちに待ったゴールデンウィークですね!みなさまはどのようにお過ごしする予定でしょうか。
さて、今回は虫歯治療における治療の選択肢のひとつである”詰め物”について具体的なお話しを書いていきたいと思います。
詰め物とは、簡単にいうと虫歯で削った穴にコンポジットレジンと言われる樹脂(プラスチック)を光で固めながら即席で塞いでいく治療です。
歯科治療自体お口の中では実際にどのような治療が行われているのか想像がつきにくくい部分だと思うので、これから治療を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
ぜひ最後まで読んでください!
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①コンポジットレジンとは?
②臨床操作とテクニック
③利点・欠点
④まとめ
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①コンポジットレジンとは?
コンポジットレジンとは、有機ポリマーと無機フィラーの複合材料です。主に虫歯の除去後に欠損部分を直接修復する「ダイレクトボンディング法」に使用されます。
●主成分と構造
•有機ポリマー
:Bis-GMA、UDMA、TEGDMAなどのモノマーが使用され、これらは紫外線や可視光で硬化(重合)しプラスチック状になります。
•無機フィラー
:シリカ、ガラス系フィラーなどの微粒子で、粒子径や含有率によって物理的強度や研磨性が変化します。
•カップリング剤
:シランカップリング剤により、有機ポリマーと無機フィラーが化学的に結合できます。
●適応症
コンポジットレジンの使用範囲は年々広がっており、以下のような場合に適応されます。
・う蝕(虫歯)の治療
う蝕の範囲によっては適応できない場合もある
・歯の欠け、破折の修復
外傷などで欠けた前歯などを補う
・隙間の改善(すきっ歯など)
見た目の改善(審美歯科)
・変色歯のカバー
色調を整える目的で、ホワイトニングで改善できない変色など
・歯頚部(歯と歯茎の境)のくさび状欠損の修復
加齢やブラッシング圧で起こる欠損の補修
・仮歯、テンポラリー修復

②臨床操作とテクニック
コンポジットレジン修復は、精密な操作と湿潤環境の管理がとても重要になります。
●ステップ概要:
1.診査·診断
う蝕や欠損の有無を確認し、X線などで深さや歯髄との距離を評価します。
2.う蝕除去·形成
まず、う蝕の箇所を過不足なく除去します。う蝕の部分のみを削ったままだと、上にエナメル質だけが薄く独立して残ってしまった遊離エナメル質が残存している状態です。このままだと脆弱で破折しやすいため基本的に遊離エナメル質部分は除去します。また、より歯質とコンポジットレジンの接着効果を高めるために選択的にベベル(歯の切削面のエッジ(端)を斜めに削る処理)を付与します。このように必要最小限の形成を行います。
3.エッチング·プライマー·ボンディング処理
ここの工程は歯質とコンポジットレジンが化学的、機械的により接着しやすくなるための操作になります。ジェル状のエッチング(エナメル質:リン酸、象牙質:選択的処理)を塗布後、液状のプライマー・ボンディング処理を行います。
4.コンポジットレジン充填
形成をおこなった窩洞にコンポジットレジンを充填し光で硬化していきます。光がコンポジットレジンを硬化できる深度は限界があるため、積層充填をすることで硬化不良の防止につながります。また、コンポジットレジンは硬化する際に体積が収縮します。一度に大量に硬化させると、収縮応力が大きく歯質との間に隙間(コントラクションギャップ)やエナメル質の微細な亀裂(ホワイトマージン)が生じる可能性が高くなるため、薄い層で少しずつ充填することで、収縮ストレスを分散させることができます。
5.形態修正·研磨
天然歯と違和感のないよう、形態修正、咬合調整および最終研磨を行います。
●注意点:
•マトリックスの適切な使用
下の写真のように歯と歯の間のう蝕の際は歯の形態を回復するためにマトリックスと言われる”枠”を設置します。また、補助器具としてウェッジやVリングなどを使用するとより隣接面の再現性を高めるに有効となります。

•湿潤環境の管理
コンポジットレジンの治療では、接着力の確保が成功の鍵を握ります。
そのため、治療中に唾液や湿気を排除することが非常に重要です。その方法のひとつが、ラバーダム防湿の使用です。
【ラバーダム防湿の概要】
ここでラバーダム防湿についてもう少し詳しく説明させてください。
ラバーダム(Rubber Dam)は、薄いゴム製のシートで、治療する歯以外の部分を覆う器具です。歯科治療中に、唾液·湿気·細菌·呼気中の水分が治療部位に入り込むのを防ぐために使用されます。
コンポジットレジンの接着処理では、歯の表面が完全に乾燥している必要があります。しかし、口腔内は常に湿気があり、舌や唾液によって治療部位が汚染されやすい環境です。そこでラバーダムを使用することで、治療の精度と成功率を高めることができます。
·唾液や湿気の影響
❌ 接着力の低下 → レジンの剥がれや二次う蝕の原因に
❌ 細菌の混入 → 充填後の虫歯の再発リスク増加
❌ エッチング·ボンディングの効果低下 → 強度不足・耐久性の低下
ラバーダムを使用することで、これらの問題を防ぎ、強固な接着と長持ちする詰め物を実現できます。


●コンポジットレジン修復におけるラバーダム防湿のメリット
接着強度の向上
湿気の影響を防ぎ、レジンと歯の接着力を最大化できます。また、唾液・血液の混入を防ぎ、接着不良や剥がれのリスクを低減できます。
治療精度の向上
明瞭な視野を確保できることも特徴です。歯科医師にとって装着した状態としていない状態では明らかに見え方が違います。患者さまのお口を開けた状態を持続できより精密な治療が可能となります。さらに唾液や舌が邪魔にならないため、細かい操作がとてもしやすいです。
治療後のトラブルを予防
接着強度が向上することで、二次う蝕(詰め物の隙間から虫歯が再発するリスク)を減らしたり、CRの変色や剥がれのリスクを低下させることができます。
患者さまの快適性向上
お口の中に水が流れ込むのを防ぐこともできるので、患者さまの不快感を軽減することにもつながります。また、特に小さい器具や薬剤を使用する場合、誤嚥や誤飲のリスクを抑えることができます。実際に患者さまから『ラバーダムを装着しながら治療した方が楽!』というお声をきくことが多いです。
●ラバーダム防湿の注意点
ラバーダムが使用できないケース
✔ 極端に深い虫歯 → ラバーダムを固定できない場合あり
✔ 歯が大きく破折している場合 → クランプで固定が難しい
✔ ラテックスアレルギーのある患者 → ラテックスフリーのラバーダムを使用する
患者さまの違和感や呼吸への影響
✔︎ラバーダム装着時に違和感を感じる患者さまもいるため、説明と配慮が重要
✔︎鼻呼吸が難しい方はラバーダムが苦しく感じることがあるため、事前に確認する
●ラバーダムが特に重要な治療
✅ コンポジットレジンの充填
✅ セラミックの接着(接着ブリッジ、インレーなど)
✅ ダイレクトボンディング
✅ 根管治療(感染予防のため)
当院の場合だと、上記の場合のような自費診療における治療と保険診療の根管治療のみで使用します。コストと治療時間確保の関係から、保険診療におけるコンポジットレジン修復でのラバーダム防湿の使用は現状難しい状況です。自費診療でしっかりお時間をいただいた上で、より精度を高めるためにラバーダムを装着していきます。
③利点と欠点
コンポジットレジンについて話を戻します。
●【利点】
•審美性:天然歯に近い色調と透明感が再現可能。
•接着修復:健全歯質の切削量を最小限に抑えられる。
•即日修復:型取り・技工工程不要で、1回の来院で完了。
•修理性:修復物の部分的なリペアが可能。
●【欠点】
•変色の可能性:長期的には水分吸収や着色による変色リスクがある。
•摩耗·破折:強い咬合力に長期間曝される部位では物性の劣化が懸念される。
•術者依存性:技術の習熟度によって仕上がりに差が出る。
■長期予後とメンテナンス
コンポジットレジンの長期予後は、材料選択だけでなく、術式の精度、口腔内環境、メンテナンスの質によって大きく左右されます。
●変色·辺縁漏洩への対策:
•定期的なプロフェッショナルケアによる表面研磨。
•必要に応じて表層の再研磨や部分的な再充填を行う。
●推奨されるメンテナンス間隔:
•3~6ヶ月に1回の定期検診・清掃。
•自宅でのセルフケアも重要(歯間ブラシ・フッ素含有歯磨剤の使用推奨)。
ブログ内には当院のクリーニングやセルフケアについてさらに詳しく扱っているトピックもあります。
お時間ある方はぜひチェックしてみてください。
④まとめ
コンポジットレジンは、審美性・機能性・生体親和性を兼ね備えた非常に優れた修復材料です。かつては前歯部や小さな修復に限られていましたが、材料の進化とテクニックの洗練により、現在では広範囲な症例に対応可能となっています。
今後も、材料のアップデートとともに、より精密で予後の良いコンポジットレジン修復が広がることが期待されます。
ただし、物性面では依然としてセラミックなどと比較して制限があるため、適応症の見極めと術者の技術力が成功のカギを握ります。
より詳しいことを聞きたい方はぜひ直接ご来院ください!


