癒合歯・癒着歯とは?

2025年9月29日

こんにちは!歯科衛生士の及川です。


今回は、特に『乳歯(子どもの歯)』によく見られる「癒合歯(ゆごうし)」と「癒着歯(ゆちゃくし)」についてお話していきます。

「前歯が大きくて変わっている」「子どもの歯の数が少ない気がする」など、気になる歯の形や本数について心配されたことはありませんか?もしかすると、それは癒合歯や癒着歯かもしれません。
乳歯では比較的起こりやすい現象で、成長期のお子さんのお口の中を診ていると意外と見つかるものです。早めに知っておくことで、将来の歯並びや健康な永久歯への生え変わりをスムーズにすることができます。

 



歯はどうやってできるのか?
まず、歯はいつできるのでしょうか。お母さんのお腹にいる時から歯はつくられているのです。
胎生8週頃~:歯胚(しはい)とよばれる歯の芽ができ始める。
胎生9週頃~:歯胚が膨らみ、周囲の上皮が帽子のように増殖する。
胎生14週頃~:エナメル質や象牙質、歯髄(歯の神経)などをつくり始める。
生後6ヶ月頃~:下の前歯が生えくる。
3歳~:乳歯20本が生えそろう。
6歳~:歯が抜け始める。
12歳~:永久歯が生えそろう。
個人差はありますが、上記のような流れで歯はつくられ、生え変わっていきます。ここで覚えていてほしいのは『歯胚』という言葉です。

 


癒合歯(ゆごうし)とは?
癒合歯は2つの歯胚(歯の芽)が発育途中で結合して1本になった歯のことです。外見は通常より大きく、中央にくびれがあったり、歯冠が双頭状に見えるのが特徴です。内部の歯髄腔(歯の神経があるところ)がつながっている場合もあれば、部分的に分かれている場合もあります。
乳歯でよく見られ、下顎乳前歯部(下の前歯)での発生率が高いといわれています。


特徴
・見た目が大きく、平べったい歯に見える
・本来2本あるはずの歯が1本に見える
・エナメル質や象牙質、歯の神経まで結合している

なぜ起こるのか?
歯ができる途中で、隣同士の歯胚がくっついてしまうことで起こります。
はっきりとした原因は分かっていませんが、遺伝や妊娠中の影響、発育環境などが関係しているといわれています。

癒着歯(ゆちゃくし)とは?
癒着歯は、歯の根っこにあるセメント質動詞がくっついてしまった歯を指します。根の部分でのみ癒着していることが特徴です。そのため外見からは気づきにくく、レントゲン写真で偶然見つかることも多いです。大人の歯でよくみられ、特に上顎大臼歯部(上の奥歯)での発生率が高いといわれています。

特徴
・レントゲンを撮ると歯の根っこ同士がくっついている
・主に永久歯に多く、奥歯でよく見られる

なぜ起こるのか?
炎症や外傷などでセメント質が多く作られてしまったり、歯の根っこが近くにあって成長とともに自然にくっついてしまうこともあります。

 


癒合歯・癒着歯による影響
・萌出異常と歯列不正
通常の1本分より歯幅が大きく、歯列弓のスペースが不足し、叢生(歯の重なり)が起こることがあります。

・むし歯・歯周病リスク
癒合部には深い縦溝や不規則な窪みが存在することが多く、歯ブラシでプラークを除去しづらい環境です。溝に沿った歯石沈着やむし歯が起こりやすく、歯肉炎から歯周炎へ進行する例もあります。

・永久歯の先天欠如
永久歯の歯胚(歯の芽)が一方もしくは両方欠如している確率が高いといわれています。

・乳歯が抜けづらい
本来、永久歯は乳歯の歯の根を吸収することでグラグラし、自然と抜け落ちます。しかし、癒合歯は歯根吸収がうまく行われないことが多いため、自然に生え変わらない場合があります。

 


 

癒合歯と似たもの:双生歯(そうせいし)
癒合歯とよく似た形で「双生歯」というものもあります。これは1つの歯のもとが途中で分かれて2つになりかけた状態です。見た目は癒合歯とほぼ同じですが、歯の本数が減らないという点で区別されます。
癒合歯か双生歯かを見分けるには、レントゲン検査や歯の本数の確認が必要です。

 


歯の形態異常としての位置づけ
癒合歯や癒着歯は、「歯の形の異常(形態異常)」の一種です。

他にも、以下のような形態異常があります:
・中心結節(ちゅうしんけっせつ):奥歯の真ん中に小さな突起ができる
・湾曲根(わんきょくこん):歯の根っこが曲がっている
・過剰歯、先天欠如:歯の本数が多すぎる/少なすぎる

癒合歯や癒着歯は、見た目の問題だけでなく、将来的な噛み合わせや歯列全体に影響を与える可能性があるため注意が必要です。

 


治療は必要?どう対応すればよいのか?
癒合歯・癒着歯があるからといって、必ず治療が必要というわけではありません。しかし、以下のような場合には治療や専門的なケアを検討します。

治療が考えられるケース
・虫歯になりやすい構造の場合、定期的なフッ素塗布やシーラントが必要
・永久歯の先天欠如や生え方に異常がある
・歯並びや噛み合わせに影響がある

観察が大切!
特に乳歯の癒合歯は、永久歯への生え変わりに影響することがあるため、定期的な歯科検診で経過観察を行うことがとても重要です。

 


まとめ
癒合歯や癒着歯は、乳歯や永久歯の形態異常の一つであり、見た目だけでなく将来的な歯列や噛み合わせにも関係してくる可能性があります。

「うちの子の歯、ちょっと変わってる?」と思ったら、早めに歯科医院でご相談ください。成長を見ながら、適切な対応をしていくことが、健康な永久歯の育成と正しい歯並びのための第一歩になります。それでは皆さま定期検診でお待ちしております◎

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