身近に潜む食いしばりの罠
2025年12月11日
みなさまいかがお過ごしでしょうか。Dr.の山本です。
今回は「食いしばり」についてお話しさせていただきます。
一気に冬の足音…どころかもうすぐそこに冬がやってきていますが、
この時期になると増えてくるのが食いしばりによる症状を訴える患者さんです。
この時期は「歯が痛い」といらっしゃる患者さんの体感3割くらいは食いしばりが原因であることが多いです。
というわけで今回は👇
1.簡単食いしばりセルフチェック
2.食いしばりによってみられる症状アレコレ
3.寝てる間だけじゃない!? 意外と怖いTCH
4.解決策は人それぞれ
こんな感じの内容でお話ししていきます。
ほないきましょう。
1.簡単食いしばりセルフチェック
「自分は食いしばりしてるのかな…?」と思っている方もいると思いますが、簡単にできるチェック方法があります。
自覚がある方もいますが、実は食いしばりを自覚できている人はごくわずかです。
もちろんレントゲンなどから総合的に僕たち歯科医師が診断することもありますので、全員に当てはまる内容ではありませんが…
基本的に食いしばりをしている人は顎周りの筋肉が凝っています。
肩凝りと全く同じです。
大体凝る筋肉は決まっていますので、これを読みながら自分で筋肉をモミモミしてみてください💪
モミモミした時に、肩凝りなどのマッサージの時のような痛気持ちいい感じ、もしくは痛みがあれば、食いしばりがあるかもしれませんよ…☝️
特に自分で確認しやすい3つの筋肉をご紹介します💡
まずは「咬筋」

場所としては頬の真横の部分です。
頬を触りながらぐっと噛み締めると膨らむ部分があると思いますが、ここが咬筋です。
咬筋は頬を縦に広く走っていますのでこの辺りを上から下までグッグッと押したりグリグリしてみてください。
食いしばりのある方は大体中央あたりが凝って硬くなっていることが多いです。
次に「側頭筋」

いわゆるこめかみです。
耳にの上部から放射状に広く伸びている筋肉です。
範囲が広い筋肉ですので、いろんなところを指でグイグイしてみてください。
最後に「顎二腹筋後腹」

ちょっと聞きなれない筋肉かと思いますが、実はここが一番痛みが出やすい筋肉です。
場所としては耳とえらの中間辺り、えらの内側を縦に走っている筋肉です。
ここを触るには、まずはバカ殿の様にアイーンと下顎を前に出して、しゃくれた状態でその部分を内側に押してみてください。
食いしばりがひどい人は軽く押しただけで痛みが出ますし、マッサージをした日には痛みで悶えて涙が出ちゃう人もいます。
以上の3つの筋肉をモミモミして、痛気持ち良い〜痛いような症状がある方は、食いしばりをしているかも…?
もし痛みがあった方は、暇な時にマッサージをしてあげてください。
お風呂に入りがらなんてのも良いです♨️
それだけでも凝りがほぐれて食いしばりが少し和らぐことがあります。
もう一つ簡単にチェックできる方法があります。
それは「下顎隆起」があるかどうかです。
鏡で簡単にチェックできます。
下顎隆起とは、下の歯の内側の歯茎にみられる骨の隆起です。
大体犬歯〜小臼歯(真ん中から数えて3,4,5番目の歯)のあたりに出現することが多いです。

これは食いしばりや歯ぎしりの力が歯から骨に伝わってできるものです。
個人差はありますが、下顎隆起があると食いしばりをしている可能性は高いです。
どうです?食いしばり、ありそうですか?
2.食いしばりによってみられる症状アレコレ
では、食いしばりによってどんな症状が出て、みなさん歯医者に来るのでしょうか?
食いしばりによって引き起こされる症状は個人差が大きく人それぞれですが、多いのは
「全体的にしみる」「ジンジンした痛み」といった症状です。
食いしばりがひどいと知覚過敏が強く出る、要は冷たいものがしみやすくなることがあります。
また根っこの周囲に負担がかかるので、歯茎の中の方でジンジンした違和感〜痛みが出ることもあります。
この辺りの症状が、患者さん的には「虫歯かも…?」と思って来院される方が多い印象です。
他にもみられる症状としては、先ほども書いた筋肉の痛みや顎関節症状(ガクガクするとか)などが多いです。
あとは最悪のケースとして歯が割れてしまうことなんかもあります。
神経を取った歯というのは強度が落ちているので、そこに過剰な力がかかれば、歯が真っ二つに割れることもあります。
割れた歯は基本的に抜歯適応です…
食いしばりから出る症状はその人の骨格や歯並びなどによって個人差が非常に大きいです。
色々な症状はありますが、食いしばりが100%原因であるというよりは、元々存在していた問題点を食いしばりが助長している場合が多いかなと思います💡
3.寝てる間だけじゃない!? 意外と怖いTCH
食いしばりというと、寝ている間の歯ぎしりなどを思い浮かべる方が多いと思います。
確かにそれもありますが…
実は起きている時、日中の食いしばりも気づかないうちにやっちゃっている方が非常に多いのです。
これはTooth Contacting Habit(歯列接触癖)といい、TCHと言われたりします。
人間は顎がニュートラルな状態の時、上下の歯は噛んでおらず、2〜3mm程度離れています。
ですが、そのニュートラルな顎の状態でも常に軽く噛んでしまっている状態のことをTCHと言います。
特にデスクワークなどをしている方に多いです。
実は正常な人の場合、上下の歯が接触する時間は、
食事などを含めて1日たったの17分程度と言われたりしています。
少ないですよね!?
よく考えてみてください。
1日8時間デスクワークをしていて、その半分の4時間でも軽く食いしばっていたとしたら?
それに加えて、夜7時間寝てる間にもギリギリ歯ぎしりをしていたら?
歯や顎にかかる力がとんでもないことになるのは明白ですよね。
加えて、先ほど書いた顎の筋肉というのは、どちらかというと瞬間的な力を出すのが得意な筋肉です。
弱い力を長時間維持し続けるのはあまり得意ではありません。
TCHは歯と筋肉にとって、非常に負担の大きい行為なのです。
寝てる間の食いしばりを制御するのは無理ですが、起きている時ならコントロールできます☝️
どこか目につくところに「食いしばらない」「口を開ける」などなんでも良いので付箋を貼っておいて、気付く機会を増やしてあげてください。
これが習慣づいて上下の歯が当たらない時間が増えてくると、歯や顎に取ってかなり楽な状態をキープできます。
あとはTCHとはちょっと違うかもしれませんが、力仕事や筋トレをしている方も、
力を入れる時に食いしばることが多いので注意が必要かと思います。
とはいえ食いしばらないと力が出ないのも確かなので、どうしても、という時はその時だけでもマウスピースをつけるのは有効かもしれません。
極論、上下の歯は食事以外で当たる必要は無いのです。
4.解決策は人それぞれ
食いしばりの症状は多岐に渡るので、それに対する対処法も人それぞれで色々あります。
基本的には就寝時のマウスピース装着や、TCHの改善で寛解することが多いですが、
歯並びの影響のせいでどうしても症状が良くならない場合もあります。
その時は歯列矯正が有効な解決策となることもあります。
基本的に就寝時の歯ぎしりはストレスや疲れからくることが多いので、
そういった時だけ症状が出る、数日で症状が治まる、という程度であれば大きな問題はないかもしれません。
ただし、人によってはストレスも疲れも関係なく毎日歯ぎしりしている人もいます。
そういった方は早急にマウスピースを作ったほうが良い場合もあります。
(歯ぎしり用のマウスピースは保険適用で作成可能です)
このように対応はその人の噛み合わせや歯並び、生活習慣などによっても変わってくるため、
「食いしばりしてるかも…?」という方はぜひお問い合わせください。
たかが食いしばり、されど食いしばりですよ…☝️


